去る7月9日、メニコン創業者である故田中恭一氏のお別れの献花式があり、過去3回も連続して受賞させていただいた感謝の念が抑えきれず、妻と共に名古屋に行ってまいりました。
本年1月に挙行された「第3回田中恭一オプティカルアワード受賞式」から2か月後にして突然知らされた訃報に愕然とし、授賞式で田中先生と並んで撮った記念撮影が最後になってしまうとは思いもよりませんでした。
我々の業界から人生一代でこれほどの偉業を成し遂げ、内外の多くの人に影響を与え続けられた熱意は後世まで語り継がれることでしょう。
献花式ではメニコンHITOMIホールにて「メモリアル上映会」が流され、帰り際に田中先生の「無から有を想像する楽しさ/中経マイウェイ新書018」他、達磨刻画の絵ハガキなどを記念にいただきました。
昨今の眼鏡業界は多様性が減退し、最も簡単なトレンドという単一ベクトルに偏る傾向が根強いように思います。この本のタイトルを見た瞬間に当方の持論である「無いものは作り出す」と符合したことから、帰りの新幹線で読み切ってしまいました。第2次大戦後の日本を支えてきたのは田中先生たちの世代であり、情熱と行動のエネルギーにあふれた人々のおかげであったと思います。
AI(人工知能)に無くて人間にあるものは正にこの「情熱と行動」ではないでしょうか。先哲の言葉から自分の人生を顧みる良いきっかけを戴いた1日となりました。ここに謹んで田中恭一先生のご冥福をお祈りいします。
追伸、オプティカルアワードは形を変えてでもぜひ存続していただきたく、せっかく芽生えたこの火を消し去ることの無いよう切にお願いいたします。
メガネショップJ-EYE
100年ぶりにメガネの概念を変える技術革新
第2回、田中恭一オプティカルアワード受賞から1ヶ月が経過してしまいました。
レンズメーターが発明されて100年ぐらい経過しているそうです。
メガネをレンズメーターに乗せてレンズの度数、乱視の度数と軸度、プリズム度数と基底方向、光学中心の測定ができますが、これはあくまで片眼のレンズ状態の測定であって両眼同時の測定ではありません。
問題の核心は正にこの片眼だけを測定する操作・行程にあります。つまり片眼レンズのプロパティは理解できても、あくまで片眼レンズの単独情報であって両眼に組み込まれた両眼レンズの物理的状態を必ずしも把握していません。
さらに述べると、レンズメーター上のメガネの光学中心間距離は網膜に投影される画像の光軸間距離と一致していると限らないのです。この問題を日常業務で偶然発見しました。
ある日のこと、当店で作ったメガネに大変満足された方が、そのメガネを他店に持ち込んで予備用にロープライス・メガネを「まったく同じ度数」で製作されたところ、物がだぶって見えてしまい無駄な出費をしてしまったと報告に来られました。
しかも当店に来る直前にそのロープライス・メガネを眼科に持ち込んで調べたところ「度数や瞳孔距離は問題ない」と言われてしまい、すかさず先生に「では、なぜダブって見づらいのでしょうか?」とたずねたら、「さあ、なぜでしょうかね...」と言われお手上げになったようです。
この事実を冷静に考察したところ、レンズメーターに設置する左右レンズはあくまで2次元平面上に設置しているためにレンズ後方の3次元的な光軸中心と瞳孔中心が一致しているとは限らないことが瞬時に閃きました。
正に100年ぶりにメガネの概念を書き換える瞬間に遭遇しました。
つまり片眼レンズを計測して2次元平面上の瞳孔距離を合わせるだけでは、現在流通している100%調整不可能な形状記憶樹脂素材フレームは左右の傾斜状態により左右レンズの光軸間距離が一致しないことが判明しました。普通のまともなメガネでも3D光軸キャリブレーションしなければ全く同じ原理が成立します。
調整したくても、軽くて変形しにくい樹脂素材のメガネは温めても変形しないので見づらいままということです。ですから眼科の処方箋で作ったとしても「顔に対して調整不可能なメガネ」では処方効果が期待できません。恐らく、そのちがいは国家資格の眼鏡作製技能士でなければ正確な説明は難しいでしょう。
見づらいメガネは単なる頭痛だけでは済みませんので、健康被害やその他の影響は恐ろしいです。
そこで両眼同時に左右レンズの光学中心間距離とレンズ後方の光軸間距離を測定する装置と測定方法を研究開発してオプティカルアワードにエントリーいたしました。昨年はこの研究と並行してメガネの国家資格の試験勉強しておりまして、連日深夜まで励んでおりました。おかげさまで国家試験も100点満点で合格し、2年連続で田中恭一オプティカルアワードを受賞できたことは生涯忘れることのできないものとなりました。
授賞式ではコンタクトレンズの歴史上の人物であり、尚も研究開発に励んでおられる田中恭一先生から直接賞状を手渡されたことは感激の一語に尽きます。
当社の発明した技術は正にこの100年間、だれにも気づかれず、あまりにも見過ごされてきた点にスポットを当てたものです。
世界初で世界唯一の3D光軸キャリブレーション・システムのブラシュアップを重ね、さらに機能を向上させる計画があります。今後も斬新なシステム研究開発に取り組みますので、当社の発表にご期待ください。
未来技術に挑戦する
デジタル・ビジョンケアショップ
J-EYE 武蔵小杉
国家資格取得はあくまで通過点
2022/11/16に我国の眼鏡業界の歴史で、初の国家資格取得者が誕生しました。
当方も昨年の暮れからテキストを取り寄せてボツボツ読んではいたのですが、本年は新システムの開発に取り組んでいたので、本格的に受験勉強したのは開発が一区切りついた6月から2か月間でした。
その甲斐があっておかげさまで無事合格し、得点を見たら何と100点満点合格でした。試験の日に手ごたえは感じていましたが、試験勉強に出てきた内容は仕事に役立つものも多く、良い結果が出て家内も私以上に喜んでくれました。
この試験や資格について既に様々な意見がありますが、最も大切なことは国が認めた資格である以上、我々は社会的使命を自覚して資格にふさわしい水準の社会活動や生産活動ができるかどうかです。
医療器具としてのメガネが衣料器具化し、ついには衣料雑貨にまで変遷して視力検査は軽視され、低質の見えないメガネや見づらいメガネの蔓延を容認する社会風潮は看過できません。日本は正に視力危機.つまりビジョンクライシスの真っただ中に突入していると言っても過言ではないでしょう。
国家資格創設は極めて衝撃的であり、消費者の意識ベクトルも行動スカラーも短期間で劇的に変化する可能性があります。それは今がネット社会だからです。
ただしメガネの検査方法にしても調整にしても時代遅れの技術から脱却し、加速的かつ能動的なイノベーションを追及していく必要があるでしょう。この資格取得者の増加でメガネ業界が健全化され、機能不全にならないことを願うばかりです。
当社は現在進行中の研究開発案件が複数あり、着実に進行しております。今後も皆様のご期待に添えられる研究を発表し、業界にわずかでも貢献できれば幸甚です。
デジタル・ビジョンケア推進
メガネショップJ-EYE 武蔵小杉
●10年先を目指す技術開発で受賞
本日PM4:00、東海眼鏡協議会 田中恭一オプティカルアワード運営委員会事務局(愛知県眼鏡小売商協同組合内)のホームページに次世代眼鏡技術というコンセプトで募集した第1回田中恭一オプティカルアワードの受賞発表がありました。
当方の提出内容は開発中の画像処理ソフトに関する研究でしたが、その状態でも応募が認められており、一応世界初の処理結果とアルゴリズムが評価されて受賞にこぎつけました。
受賞テーマは「波面収差解析による器質的両眼視網膜像シミュレーター・ソフトの開発」です。
表題中の「器質的」とは「形態的」の意味を指します。すなわち眼球を受光器光学系として計測した画像解析であり、脳神経系による視覚画像処理・解析とは異なります。これはソフト開発にあたり、公表されている医学論文や画像解析の学術書を読みこんだ時に器質的でない両眼視と区別すべきことを認識しました。
そもそも現在使用しているウェーブフロント解析システムも単眼の器質的な測定システムであることから、片眼それぞれのPSF解析データと視標をコンボリューションした網膜シミュレーション像の光学的な加算平均処理で両眼シミュレーション像を表示しました。現状のシステムに最もフィットする方法だからです。
片眼で物を見る次元と両眼情報を脳内で認識する次元は大きく異なります。この構造はまさしく画像処理そのものであり、調べれば調べるほど奥が深いことを再認識した次第です。
当社は2016年にはパソメガ®システム開発で川崎市起業家賞を受賞し、2018年には高エネルギー可視光(HEV)スペクトル分析システム開発で神奈川県から産業Navi大賞を受賞して、今回2021年は3回目の受賞となりました。これはあくまで通過点であり、さらに新しい未知の技術に向かって研究を続けてまいります。
デジタル・ビジョンケアショップ J-EYEにご期待ください。
「薄雲の中でおぼろげに光る月食...」
今回の部分月食はTVやネットで前宣伝が広がっていたので、子供から大人まで期待していた人が多かったのではないでしょうか。
ところが午後6時2分の食大(月食が最も欠ける状態)の天気は雲が出ていて、武蔵小杉地区からは月が見えません...しかし昨日の天気予報では午後7時ごろには次第に雲が晴れて東京地方は見えるとのことでしたので、しばらく辛抱していました。
結局食大後の部分月食で薄雲をついて見えだしました...97%の部分月食は何と140年ぶりだそうでしたが全貌を見られず残念でした。次回は来年の11月8日に皆既月食があり、今回のようなほとんど隠れる部分月食は2086年11月24日だそうです。
月食を肉眼でよく見るためには、やはり遠くがよく見えるメガネが必要です。来年の皆既月食前には、ぜひともJ-EYEで視力の点検をお勧めします。
武蔵小杉の
デジタル・ビジョンケアショップ J-EYE
本日いつもご来店いただいているお客様から、手作りのかわいい卓上カレンダーをいただきました。何と写真とイラストを駆使した「ネコちゃん」のカレンダーですが、とてもアマチュアが作ったと思えず、精密な描写はプロ並みの力作です。
この場を借りて御礼申し上げます。
そういえば十二支の中に「イヌ」がいるのになぜ「ネコ」がいないのかと思ったりします。イヌもネコも大昔から人と深く関わって生活していただけに、「ネコ年」があってもいいような....おっと、そういえば「トラ」は「ネコ科」でしたね...
TV番組でも動画でも最近かわいいネコちゃんたちの映像をよく目にします。コロナ禍でしたが、映像に出てくる可愛いネコちゃんたちにほんと癒されました。
来年は「寅年」です。「トラ」と同科の「ネコ」ちゃんは商売では「招き猫」といって縁起が良いイメージがありますが、来年は日本中の景気が早く良くなることを願っています。
武蔵小杉の
デジタル・ビジョンケアショップ J-EYE
波面収差解析(ウェーブフロント・アナライザー)のデータベース・システムを導入して8か月が経過しました。連日興味深いデータに遭遇しており、またストックしたデータの分析など新しいアイデアを思いついたりしています。
PC側のハードディスクも通常のタイプからサーバー用の耐久性の高いものにリプレイスしておりますが、RAID構成ではないので適切なバックアップを行っています。
性能面では十分吟味して導入したので満足していますが、人の顔や眼の小刻みな動きが測定結果に影響するだけに、微小なバイブレーション対策の改良は必要でしょう。MTF解析画像を見るとバイブレーション・エラーとそうでない画像の区別がつきます。ほとんどはX方向のモーション・エラーが多いのですが、たまにY方向のエラーもあります。
測定器のオート・トラッキング機能よりも早い小刻みな動きをされると再測定しなくてはなりません。被検者の顔の両側をソフトに固定できないものかと思います。
とにかくトプコンのKR-1Wのスループットには満足しています。高速な画像処理のための膨大な数値計算が一瞬でできるのですから驚きです。いまの若い人が見ればこれはごく当たり前かもしれません。
当方はかつて35年前にNECの16Bitパソコンに接続して使用する画像処理ユニットで画像解析していました。当時は高速フーリエ変換のバタフライ演算に有利なビット反転機構を持つ高速DSP(デジタルシグナル・プロセッサ)ボードを使用してもエンターキーを押してから結果が出るまでに15分ぐらいかかりました。でもあのころDSPボードがソフト込みでPC本体の2倍もする凄い代物でした。
コーヒーサイフォンでコーヒーを沸かしてPCの前に戻り、1口飲んだところでやっと画面にパワースペクトルが出てきた時代からすると隔世の感があります。
波面収差アナライザー「KR-1W」から出てくる結果は、ゼルニケ多項式で分類された低次・高次収差値のみならず点像分布関数や空間周波数の解析画像も出てきます。
取り扱いには最低でも理数系数学の知識が必要であり、フーリエ変換の概念が理解されていないと表示画像の分析並びに被検者に説明ができません。MTFと視標のコンボリューション(畳み込み)積分による眼球網膜像のシミュレーションを正確に説明するには、離散的フーリエ変換や高速フーリエ変換の理解も必要でしょう。画像解析はとてもハードルが高くなります。
これからの眼鏡店は国家資格試験の実施が予定されておりますが、高度な時代に見合う水準の技術が要求されるようになるでしょう。それでこそ先進国と言えるのではないでしょうか。
このシステムの内容は奥が深いのでまたここに近況を報告したいと思います。IT系のデジタル・ビジョンケアショップJ-EYEにご期待ください。
きっかけは脳梗塞で2種免許を失効したタクシー運転手さん...
昨年秋、あるタクシー運転手さんから「深視力測定」を依頼される連絡が入りました。
お話を伺ったところ免許更新の直前で脳梗塞になってしまい、入院していたので免許が失効して困っておられました。深視力検査を標榜する店舗数店に事情を話すも断られ、藁をもすがる思いで当店にご連絡いただいたようです。
その時点ではすでに退院したものの、半身の麻痺が続きリハビリを継続されているようでした。あまりにもお気の毒であったことと、視力はある程度見えるとのことでしたのでご来店いただきました。
実は免許証は失効から6か月以内は救済期間として再度視力検査と深視力検査をパスして書類提出すれば交付されるのです。このことはご本人もご存じでしたが、問題は深視力測定です。左半身の麻痺が残りリハビリ中とのことでしたが、動く方の手の指もボタンを押すタイミングがなかなか合いません。
深視力検査では、たった0.1秒の違いで2~3mmのズレを生じるからです。この僅かなズレで泣かされている人がかなりおられます。
視力はそこそこ出ていたので、恐らく「三桿は見えていてもボタンを押しにくいのでは?」と感じました。しかしその時点では正確な反応速度を調べる手立てがなかったので、直感的になんとか開発できないか考えました。当店では僅かでも開発にポジティブな可能性が見いだせる内容と判断した場合、研究対象として対応することがあります。
ネットで「反応速度」を調べたところいろいろな種類があり、深視力測定に効果的なものはどの反応速度を測定したらよいか、1か月ほどかけて専門家の執筆した学術論文を調査しました。そこでいろいろな資料と出会い、後にシステム開発に大きな参考になりました。
実際にWEB上でもすでに反応速度を調べるものはあったのですが、ネット上の速度測定はいくつかの問題点があって深視力向上には使えそうにありませんでした。最も大きな問題は、オンラインのものはネットの同期タイマーを使用している点と通信速度に影響されるためシステムが安定せず、測定時間の精度・信頼性が低かったからです。
さらにパソコンのキーボードを使用するとどうしても構造的に0.1秒程度遅くなることが判明し、深視力測定器で使用するものと同等なスイッチをパソコンに接続する外部スイッチを作成しました。これもけっこう大変でしたが良好な結果を出すことができました。
またWindows系の開発言語には高精度タイマーを発生するコンポーネントが用意されているので、反応速度測定ソフトを0から開発しました。
その年の暮に、完成した試作システムで例のタクシー運転手さんに試したところ右手親指での反応速度は平均0.3秒台で標準的になったことがわかり、深視力検査の練習をしてから、あと3日で2種免許が完全失効というところで神奈川県の試験場に行かれました。
数日してご本人から電話があり、なんと
「おかげさまで...どうにか無事に合格しました...ありがとうございました...」
というリベンジの吉報をいただきました。ご努力の限りを尽くされたことを思うと胸が熱くなりました。
ご本人のご不自由な片足を引きずりながら運転試験場に向かう姿を見送ったことが忘れられず、当方も家内も鳥肌の立つような感激をいたしました。当社の技術がお役に立てて冥利に尽きる瞬間です。
おそらくこの半年間はかけがえのないお仕事を失職するかもしれないご不安を抱えた毎日だったことでしょう。今後のリハビリが進み、一日も早く職場に復帰できることを願ってやみません。
反応速度は個人差・年齢差があり、深視力測定に影響することがわかっていますが、さらに深く関連性の研究を積み重ねる必要があります。それはシステムのみならず利用技術も考慮しなくてはなりません。今後も深視力検査に困っておられる方のために新しいシステム開発を進めたいと思っています。今後の発表にご期待ください。
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