波面収差アナライザーとフーリエ変換
波面収差解析(ウェーブフロント・アナライザー)のデータベース・システムを導入して8か月が経過しました。連日興味深いデータに遭遇しており、またストックしたデータの分析など新しいアイデアを思いついたりしています。
PC側のハードディスクも通常のタイプからサーバー用の耐久性の高いものにリプレイスしておりますが、RAID構成ではないので適切なバックアップを行っています。
性能面では十分吟味して導入したので満足していますが、人の顔や眼の小刻みな動きが測定結果に影響するだけに、微小なバイブレーション対策の改良は必要でしょう。MTF解析画像を見るとバイブレーション・エラーとそうでない画像の区別がつきます。ほとんどはX方向のモーション・エラーが多いのですが、たまにY方向のエラーもあります。
測定器のオート・トラッキング機能よりも早い小刻みな動きをされると再測定しなくてはなりません。被検者の顔の両側をソフトに固定できないものかと思います。
とにかくトプコンのKR-1Wのスループットには満足しています。高速な画像処理のための膨大な数値計算が一瞬でできるのですから驚きです。いまの若い人が見ればこれはごく当たり前かもしれません。
当方はかつて35年前にNECの16Bitパソコンに接続して使用する画像処理ユニットで画像解析していました。当時は高速フーリエ変換のバタフライ演算に有利なビット反転機構を持つ高速DSP(デジタルシグナル・プロセッサ)ボードを使用してもエンターキーを押してから結果が出るまでに15分ぐらいかかりました。でもあのころDSPボードがソフト込みでPC本体の2倍もする凄い代物でした。
コーヒーサイフォンでコーヒーを沸かしてPCの前に戻り、1口飲んだところでやっと画面にパワースペクトルが出てきた時代からすると隔世の感があります。
波面収差アナライザー「KR-1W」から出てくる結果は、ゼルニケ多項式で分類された低次・高次収差値のみならず点像分布関数や空間周波数の解析画像も出てきます。
取り扱いには最低でも理数系数学の知識が必要であり、フーリエ変換の概念が理解されていないと表示画像の分析並びに被検者に説明ができません。MTFと視標のコンボリューション(畳み込み)積分による眼球網膜像のシミュレーションを正確に説明するには、離散的フーリエ変換や高速フーリエ変換の理解も必要でしょう。画像解析はとてもハードルが高くなります。
これからの眼鏡店は国家資格試験の実施が予定されておりますが、高度な時代に見合う水準の技術が要求されるようになるでしょう。それでこそ先進国と言えるのではないでしょうか。
このシステムの内容は奥が深いのでまたここに近況を報告したいと思います。IT系のデジタル・ビジョンケアショップJ-EYEにご期待ください。
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