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波面収差解析

2021年12月27日 (月)

第1回 田中恭一オプティカルアワード受賞しました!

10年先を目指す技術開発で受賞

 本日PM4:00、東海眼鏡協議会 田中恭一オプティカルアワード運営委員会事務局(愛知県眼鏡小売商協同組合内)のホームページに次世代眼鏡技術というコンセプトで募集した第1回田中恭一オプティカルアワードの受賞発表がありました。



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 当方の提出内容は開発中の画像処理ソフトに関する研究でしたが、その状態でも応募が認められており、一応世界初の処理結果とアルゴリズムが評価されて受賞にこぎつけました。

 受賞テーマは「波面収差解析による器質的両眼視網膜像シミュレーター・ソフトの開発」です。

 

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 表題中の「器質的」とは「形態的」の意味を指します。すなわち眼球を受光器光学系として計測した画像解析であり、脳神経系による視覚画像処理・解析とは異なります。これはソフト開発にあたり、公表されている医学論文や画像解析の学術書を読みこんだ時に器質的でない両眼視と区別すべきことを認識しました。

 

 そもそも現在使用しているウェーブフロント解析システムも単眼の器質的な測定システムであることから、片眼それぞれのPSF解析データと視標をコンボリューションした網膜シミュレーション像の光学的な加算平均処理で両眼シミュレーション像を表示しました。現状のシステムに最もフィットする方法だからです。

 

 片眼で物を見る次元と両眼情報を脳内で認識する次元は大きく異なります。この構造はまさしく画像処理そのものであり、調べれば調べるほど奥が深いことを再認識した次第です。

 

 当社は2016年にはパソメガ®システム開発で川崎市起業家賞を受賞し、2018年には高エネルギー可視光(HEV)スペクトル分析システム開発で神奈川県から産業Navi大賞を受賞して、今回2021年は3回目の受賞となりました。これはあくまで通過点であり、さらに新しい未知の技術に向かって研究を続けてまいります。

 

 デジタル・ビジョンケアショップ J-EYEにご期待ください。

2021年11月 1日 (月)

波面収差アナライザーとフーリエ変換

 波面収差解析(ウェーブフロント・アナライザー)のデータベース・システムを導入して8か月が経過しました。連日興味深いデータに遭遇しており、またストックしたデータの分析など新しいアイデアを思いついたりしています。

 PC側のハードディスクも通常のタイプからサーバー用の耐久性の高いものにリプレイスしておりますが、RAID構成ではないので適切なバックアップを行っています。

Tp_kr1w

 性能面では十分吟味して導入したので満足していますが、人の顔や眼の小刻みな動きが測定結果に影響するだけに、微小なバイブレーション対策の改良は必要でしょう。MTF解析画像を見るとバイブレーション・エラーとそうでない画像の区別がつきます。ほとんどはX方向のモーション・エラーが多いのですが、たまにY方向のエラーもあります。


 測定器のオート・トラッキング機能よりも早い小刻みな動きをされると再測定しなくてはなりません。被検者の顔の両側をソフトに固定できないものかと思います。

 とにかくトプコンのKR-1Wのスループットには満足しています。高速な画像処理のための膨大な数値計算が一瞬でできるのですから驚きです。いまの若い人が見ればこれはごく当たり前かもしれません。

 当方はかつて35年前にNECの16Bitパソコンに接続して使用する画像処理ユニットで画像解析していました。当時は高速フーリエ変換のバタフライ演算に有利なビット反転機構を持つ高速DSP(デジタルシグナル・プロセッサ)ボードを使用してもエンターキーを押してから結果が出るまでに15分ぐらいかかりました。でもあのころDSPボードがソフト込みでPC本体の2倍もする凄い代物でした。

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 コーヒーサイフォンでコーヒーを沸かしてPCの前に戻り、1口飲んだところでやっと画面にパワースペクトルが出てきた時代からすると隔世の感があります。


 波面収差アナライザー「KR-1W」から出てくる結果は、ゼルニケ多項式で分類された低次・高次収差値のみならず点像分布関数や空間周波数の解析画像も出てきます。


 取り扱いには最低でも理数系数学の知識が必要であり、フーリエ変換の概念が理解されていないと表示画像の分析並びに被検者に説明ができません。MTFと視標のコンボリューション(畳み込み
)積分による眼球網膜像のシミュレーションを正確に説明するには、離散的フーリエ変換や高速フーリエ変換の理解も必要でしょう。画像解析はとてもハードルが高くなります。

 
 これからの眼鏡店は国家資格試験の実施が予定されておりますが、高度な時代に見合う水準の技術が要求されるようになるでしょう。それでこそ先進国と言えるのではないでしょうか。

 このシステムの内容は奥が深いのでまたここに近況を報告したいと思います。IT系のデジタル・ビジョンケアショップJ-EYEにご期待ください。